博士課程取得にあたり、難関は査読付き論文の掲載許可です。
査読の条件は、論文誌毎にどのように判定を行うか、その判定基準が公開されている場合もありますが、通常は新規性、有用性、創造性などが判定されるようです。わたしが論文の書き方で参考にしたのは、こちらの特集解説です(「論文の書き方と発表の仕方」阿部 重夫)。現在、無料で閲覧できます。
こちらの論文では、新規性と有用性について説明がなされており、新規性を示すには何が新しいかを論文で示すこと。有用性については従来手法と比較し、どのように改善されたかを示す必要がある、ということです。研究を始める前にこれらを意識しておく必要があると思いました。
よし!じゃあ新規性を持たせるために目新しい研究をするぞ!と意気込むのですけど、「従来にない手法である」ことを示すには、これまでの研究対象における論文を読み込まないと、「それ、ここに書いてあるから新規性ないよ」と論文投稿後に指摘されても困るわけです。これをやっちまったら博士の期間延長が確定です。
よし!じゃあ論文を読み込むぞ!とIEEEやらCiNiiやらで研究対象を名前を打ち込んで検索するんですけど、数百件出てくるわけですね。。あちゃーこりゃいかん。研究を始める前に、研究テーマが絞れない。。研究対象となる、例えば名称で検索すると、かなりの数の論文が出てきて、すごく大変です。そこに少し、テーマを絞って検索すると、ヒット数が減って、多少は楽になりました。しかし、ここで論文が漏れていたら結果は同じ(査読者「何で同じことやってんの?」)。。論文を書きつつ、先行文献で内容がかぶっていないか、並行してチェックも必要です。こりゃ大変だ。
最終的にチェックした論文の数は、129件。諦めて、片っ端から読んでいきます。すると、やろうとしている研究テーマに近い論文は10数件しかないことが分かりました。ここから差別化をして、新規性を出せれば良いわけですね。よし、じゃあがんばろう。
どう頑張っても差別化できない論文は、結果的にリファレンスとして論文に記載しました。この論文ではこういっているが、これこれが理由だから、、というやつです。
これ、新規性について簡単に書いていますが、新規性を指摘するために半年間は悩みました。。結果的に、論文の中では「これまで報告例がない」と記載して、新規性をアピールしたのですが、こんなのぜーんぜん最初は思いつきませんでした。
方法論の話になるとややこしいのですが、まあやったことは単純で何回も考え直すというやつですね。外山滋比古(著)「思考の整理学」でいう、思考の鈍化というやつでしょうか。かなりテーマを絞らないと新規性が出せなかったのですが、それを広い分野に適用できますという有用性をも出すには、収斂思考(本質を1つに絞る)と拡散思考(本質を絞らない)という異種の考え方を同時並行に行って、矛盾が無いように並べないと説明になりませんから、、ここがネタだしの中で大変でした。言い方を変えれば、垂直思考と水平思考など、呼び方は何でもいいのですが、とにかく時間がかかるものだと思います。
何はともあれ、研究テーマがぼんやりとでも決まったら、次はデータの取得です。データの取得は研究計画の作成でしょう。データを取りながらも、新規性と有用性については常に意識しながら、何が論文の価値なのかを考えながら、研究を進めることがキモです(今だから言えること)。
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