2022年11月4日金曜日

査読結果がケチョンケチョン

 入学して一年以内に一本目の論文を投稿するぞ!と息巻いて、どうにか論文らしきものを形作ることはできたのですが、その勢いで投稿したのですね。その時点での自分の力量では、納得のできるレベルで、推敲も数か月行いましたし、一旦もうこれ以上やることはない、というところまでやってからの論文投稿になるのですが、これがまた、


査読でケチョンケチョンに言われた


というのは今思い出しても、苦い思い出です。

とにかく、指摘事項が多い、多すぎる。。

三人のReviewerに見てもらったのですが、一人目はまだいいですよ。「論文のタイトルは耳目を引く」というポジティブなリアクションをいただいて、指摘もまあ納得できる。対応できる内容でした。


しかし、二人目と三人目がひどい。各人20個くらい指摘をくらっている。中には、根本を覆すような指摘や、「英語はネイティブチェックを受けろ」とさらって書かれていますし、「この文が何を言いたいのか、分からない」「最低でも2次元ではなく、3次元でシミュレーションを解け」などなど、これでもか!というほど指摘を入れてきます。それを見て、私の反応は、


あ、これ無理だ。。


と、さっそく査読を通すことを諦めました。反論することが大変なのもさながら、根本的な指摘が多すぎる、、一から考え直さねば、これらの指摘に反論できない。。という至極まっとうな査読プロセスの結果を受けて、自分の考えが如何に浅かったか、思い付きであったか、説明のためのデータや論理が不十分で納得できるものではなかったかを思い知らされることになりました。


一方、感じたのは、しっかりと論文を読んでくれている。という印象です。しかも、文字通り読んでいるという感触が強く、文意の奥にある隠れた真意などというわかりずらいものは、存在すら認められないわけですね。自分なりに、クリアに、主張を先頭に、それをバックアップするデータを順序良く並べるということをやったと思っていたのですが、まだまだ、文章があいまい。データの説明があいまい、そもそも説明がない、などといったボロボロの状態だということを認識させられました。


これ、あれですわ、科学論文を英語で書くという能力は、英語を使う能力とは別と考えたほうが良さそうですわ。確かに英語は結論から話して、順序良く、論理的にというのはあるのですが、科学論文ではさらに明白に、明瞭に説明をするということと、読者にデータを読み取らせてはならないという、「こんなのみりゃ分かるじゃん」などというものは通用しないことが分かりました。これって、論文作成能力が低いから発生する事案で、まだまだ論文の書き方というものがなっちゃいないということです。


当然ですけど、体当たりで論文投稿して、結果が散々であったというのはショックです。何分、これなら大丈夫だろう!と思っているから投稿するわけで、ケチョンケチョンの「あなたの論文は論文ではない」くらいのことを書かれてしまうのですから、そりゃーショックです。


これ、査読結果を受け取ったときにはショックすぎて気が付かなかったのですが、査読の結果は、「返送」ではなく、「査読に対する回答を得て、論文を修正して再度判定」だったのですね。「返送」ではなかった。しかし、返送だと思って諦めてしまいました。。しっかり、返答を読んでいればよかった。。


こうして、入学して一年以内に論文を投稿することはできたのですが、掲載となるわけには到底いかず、この査読結果を生かして論文をさらにブラッシュアップする作業が必要となりました。ブラッシュアップした論文は、別の学会誌に投稿することを前提としています。


この時の経験から学んだことは、自分では限界まで考えたつもりでも、まだまだ力量のある査読者からすれば、書き方も、考えも、浅い。稚拙。つまり、論文作成者の実力が低いということです。これは、投稿前にそれなりの力量を持つ人に査読をしてもらうが必須であるということです。査読は、論文指導の場ではなく、あくまで掲載許可の判定の場なので、ここでアドバイスをもらうことは根本的に誤っています。


つまり、論文を書く能力というものを根本的に身につけなければならないわけですね。論文の書き方的な著書は、ある程度読んで、書き方は理解したつもりでいましたが、いざ、実際査読を通そうとなると、自分一人の考えだけで書いても、あっちゃっちゃーになるということです。それが他分野の人であればなおさら。とにかく、わかりやすく、クリアに、本質を説明する。今自分がやっていることは、細かくて、ぐちゃぐちゃしていますが、これを思考の階段を上がって、広い範囲から説明をしていく。この思考の密度の使い分け、前段は密度を粗く、後段は密度を細かく、ができていないと、読んでいてストレスたまるのでしょうね。


あー、うまくいきませんわ。論文を書くのってこんなに大変なのか、計画通り、予想通りいかないわ。これ、かなりエネルギーと時間を費やさないと、三年間で卒業できないぞ。と、根底的に焦りを抱え、博士課程を突き進むのでした。



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